「文春文庫」 「夢枕獏 著」 『陰陽師』(おんみょうじ) の第一巻第一話第 二章 ━ ひと月ぶりに何処ぞから帰ってきた安倍清明(あべのせいめい) を尋ねて、武士の源博雅(みなもとのひろまさ)朝臣がやって来た。 二人 はさっそく酒を酌み交わし、一月間も安倍清明が何処へ行っていたのか という話になる。 安倍清明は高野山へ行き、僧達と『呪』(じゅ又はしゅ) のこと、特に『この世で一番短い呪』のことを話し合って来たと云う。......... 『呪』 ━ 『呪詛』の『呪』、『呪縛』の『呪』 ━ 人や物を捕らえ、その運命 までも縛り付ける『呪いの言葉』。......安倍清明は、この呪いの言葉『呪』 の『この世で一番短いもの』は『名前』だと教える。 ━ 人は勿論、あらゆ るものも『名前』を付ける (付けられる) ことによって、その『名前』に縛ら れるのだと説く。............確かにその通り、親が子に付けた『名前』はその 子に一生付き纏い、その子の運命をも左右する。 ..........『この世で一番 短い呪』=『名前』 .............ここまで読んできて、コンピュータ好きの貴方 なら、何かお気付きにならないだろうか ? ........「はっ」と合点が行かない だろうか ? ................ パソコンを使って一つでもファイルを作った事が有 る方なら、直ぐに解かって頂ける筈だが、『ファイル』をコンピュータに認 識して貰う ( 管理して貰う ) 為には、『ファイル』に『名前』を必ず付けな ければ成らないのだ。 日本語でも英語でもメチャクチャでも、ひらがな でもアルファベットでも数字でも、、、 とにかく『名前』が無ければ『ファイ ル』を保存出来ない。目的によって使える文字の制限が有ったり、コン ピュータが勝手に記号を付けたりすることが有るが、『名前』を付けるこ とには変わりがないのだ。 ..................私は、『陰陽師』のこの箇所を読ん だ時、「なるほど....」「ファイルに呪を掛けるのか !」と、一人で大いに納得 したものだ。 ..........非科学的な『呪』と、科学そのものの『コンピュータの 仕組み』が、実は同じ事だったなんて、、、、、 平安時代も現代も「なん にも変わっちゃいない」という気がした。 ................................................... もうだいぶ前に『ロバート・ジャストロウ』が『もう一つの宇宙』という本 でこう書いている。コンピュータは複雑で煩わしい計算を人間の代わ りにする『電子計算機』として人間によって生み出された。しかし、この 一見人間と全然違う『非生命体』の『コンピュータ』と『人間の脳』の仕 組みが、「実は良く似ているのだ」と指摘している。共に記憶やメモリー チップの間を情報が弱い電流となって行き来しているところなど、全く同 じではないかと .............. 又、米のコンピュータ学者の予言としてこうも 書かれている ━ 『コンピュータ』は「21世紀には平均的人間と同じ知 能を持つようになり、やがて自ら学習を始め、数ヶ月経つと天才のレベ ルに達し、更に数ヶ月経つと、計り知れない能力をもつことになる。 そ の後は、運が良ければ、人間をペットとしてそばに置いてくれるだろう」 と、....... では、そうなったとして、人間はコンピュータに反撃する事が 出来るだろうか ? ...... 答えは簡単、「コンセントを抜けばいい」のであ る。......... が、『ジャストロウ氏』はこの後こう続ける、、、 「果たして人 間はコンセントを抜けるのだろうか ?」。.... 20世紀の終わり頃になれ ば、コンピュータがあらゆる社会の中枢を担っていて、「もはや人類は コンピュータのコンセントを抜くことが出来ない」と言い切る。 ............... 更に『氏』の予測は続く、、、 コンピュータが進化して、人間の全人格 を理解し、それを完全にコピーすることが出来るようになったら、 必 ずそのコンピュータに自分の全てを移入しようとする人間が現れる。 つまり、いずれ、 人間であり、コンピュータである『無機物で出来た』 新しい『知的生命体』が誕生することになる。 この新しい『知的生命 体』は『無機物』で有るが故に、『有機物』の『肉体』と云う『呪縛』から 解き放たれる。 .................... かくして、不老不死の『知的生命体』は 自らの姿を宇宙船に変え、壮大なる宇宙へと旅立って行く ................ ・ |
ジョンにゃん次郎
何時だったか......お客様が入って来るなり、こう云いました。 「あの、 ねこ、、、あの猫いますか ! 」 この一言で『ジョンにゃん次郎』のラン キング1位が決まりました。 「パインハウスのひとびと」に登場してい た『ジョンにゃん次郎』がよほど印象に残ったのでしょう。、、、 確か に『ジョンにゃん次郎』は不思議な猫です。 ある日を境に『静かなる ジョンにゃん次郎』に変身しました。 悠悠自適、泰然自若、一歳に 成らずして、威風堂々とした風格を備え付けたのです。 ところで、 『ジョンにゃん次郎』を見ていて、....................こんな空想をしました........ 神様に会ったジョン ある初夏の朝、ジョンにゃん次郎はお客様と一緒にふらりと外に出た。 ジョンにゃん次郎は此の頃無性に外へ出たくなる。ペンションの窓から 陽光の降り注ぐ外を眺めていると、何かが自分を呼んでいるような気 がしてならないのだ...... ジョンにゃん次郎はペンション近くのいつもの 散歩コースを、いつもの様にゆっくり歩む、すると、行く手の草叢の一点 がキラリと光った。光はやがて周囲の陽光を集めて凝り、膨らみ、眼も 眩む輝きとなってジョンにゃん次郎を包む............. ジョンにゃん次郎は 神様に会ったのだ。............... ジョンにゃん次郎が会った神様、それは 『大いなるもの』 それは『この宇宙の真理』 ━ とてつもなく大きく、 とてつもなく小さく、未熟な人間の頭脳では想像することも出来ない。 .........この光に包まれた瞬間からジョンにゃん次郎の目には、生きとし 生けるものの全ての営みが、哀れにも愛おしく見えるようになった.... ・ |
何の前触れも無く、ペルシャ猫の『ミルク』はデパートからやって来た。 7月始めのうだる様な一日、札幌のデパートへ買い物に行った妻と娘が. 「檻に入れられて可哀相」と生後3ヶ月(オス)のペルシャ猫を買って来た。 真っ白なので『ミルク』と娘が名付けた。7月初めのうだる様なあの日は 『ミルク』にとって幸福が始まった運命の日。食べ物だけは豊富にある我. が家に来て、やはり栄養失調だった『ミルク』はどんどん元気に成った 『ミルク』は毛の色が『ジョンにゃん次郎』と正反対のように、性格もまっ たく反対。優雅な姿に似合わず、ちょろちょろとすばしっこくて臆病者。食 は洋食派 (蓄肉好き)。甘え上手で、ペット猫は、生まれながらのペット猫 なのだ。 .....この『ミルク』が我が家に来たばかりの頃は、毎日いたずら ばかりしていた。しかしあんまり可愛いので「ダメ、ダメ」と叱ることが出来 ず、「チャム、チャム」とつい甘い叱り方をしていた。それが何時しか『ミル ク』の名前に取って代わって、今では『チャム公』とか『チャム吉君』と呼 ばれる方が多くなった。..この『ミルク』を『チャム、チャム』といって一 番可愛がるのが、何と犬派のオーナーだ。 仕入れに行く度に『チャム君』 の好物を買って来る。食事の度にひざの上に来る『チャム』に、自ら口で. 砕いては分け与える。暇さえあれば抱き上げて話しかける。....もう目に 入れても痛くないような可愛がり方、、、、皆に「お孫さんですか ?」と聞 かれて、まんざらでもない顔でニコニコしている有様だ、、、、、、 。 ・ |
「まりや & 達郎」の【夫婦共同制作】を検証してみました 右の絵をクリックすると GO ⇒ |